藍のある授業風景
2009.11.10
今回は、徳島ならではの授業風景をご紹介したいと思います。
先日、藍師※の一人、新居修氏を訪ねたところ、「今日は、県内の小学5年生が130人ほど見学に来る。」とのこと。これは良いブログネタが出来た! と思い、見学させてもらうことにしました。
新居氏の所には、毎年何校かが見学に訪れるそうです。今回の小学校は自分たちで藍を育て、「すくも」を作って藍染めまでしているという本格派。すばらしい、いい経験してるなぁ。
※藍師(あいし) :乾燥葉藍から「すくも」と呼ばれる染料を作る技術者
しばらくすると、大型バス3台が到着。元気よく子供達が飛び出して…と思ったら、何だかスゴイことになっている! そうです、例のインフルエンザ対策で、全員マスク装備。本当にびっくりしました。今、学校では大変なことになっているんですね・・・。
大勢のマスクボーイズ&ガールズは、新居氏による「すくも」作りの説明を熱心に聞いた後、さまざまな疑問をぶつけていました。
藍を発酵させるときには、70℃近くまで温度が上がる、という話が出ると「おぉ~」と驚きの声。「すくも作りのコツは?」と尋ねられると、笑いながら「辛抱!」と新居氏。伝統産業の厳しさをやさしく教えていました。
また、「どんな時がいちばんうれしいですか?」と聞かれたときには、「使った人から、いい色が出たよ、と言ってもらえた時」と答え、仕事の喜びを伝えることも忘れません。
左 :新居氏が積み上げた葉藍に水を打ちます。水加減が大切です
右 :切り返します。発酵熱で水蒸気が立ちこめます。奥は息子さん、手前はお弟子さん(写ってませんが・・・)
左 :作業場ですくも作りの説明。写真や実際の機械を使い、手慣れた様子の新居氏
右 :藍染めの火消し装束を試着。すごくうれしそう
その後、子供たちは「寝床」と呼ばれる葉藍の発酵施設を見学。発酵中の葉藍の山に手を入れて、その温度とにおいを体感していました。
「すくも作りをずっと伝えてゆきたい。そのために、後継者を育てることに力を入れている。出来るだけ多くの人に、技を伝えたい。」と話す新居氏。子供たちにも、伝統を伝えることの難しさ、大切さが伝わったようでした。
私にとっても、阿波藍という伝統の継承に少しでも役立ちたい、そう再認識させられる日になりました。
左 :自分で染めたハンカチを新居氏に見てもらいました。新居氏:「おぉ~、上手に出来とるなぁ!」
右 :発酵中の葉藍に手を入れて温度を体感。中心部分は70℃近く。この後みんな「あっちっち~」と手を引っ込めます(笑)