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徳島県
吉原 均

らっきょうのネダニと闘う日々

2009.03. 9

 今回は「らっきょう」の話題です。
 徳島県の東部に位置する大毛島で生産されている「らっきょう」は、「鳴門らっきょ」として地域団体商標も取得している特産品です。しかし、ネダニの被害が多発し、収量・品質の低下を招くという問題が発生していました。
 そこで当センターでは、対策として様々な取り組みを行っています。


被害を受けた圃場  加害中のネダニ。まるで動く白いイクラ・・・。大きさは約0.7mm
左 :被害を受けた圃場 / 右 :加害中のネダニ。まるで動く白いイクラ・・・。大きさは約0.7mm 
  

 様々な調査を行った結果、被害原因は、植え付け前の種球に寄生している“ネダニ”である事が分かりました。ネダニは薬剤防除が困難ですが、40℃程度の温度で死んでしまうという、か弱い一面も持っています。そこで現在、生産者のみなさんには、種球の天日乾燥によってネダニを駆除する方法を推進しています。


天日乾燥の様子。ネダニには気の毒?ですが、薬剤を使わずに、ほぼ完全に駆除できます  天日乾燥して植え付けた圃場。被害は全くありません
左 :天日乾燥の様子。ネダニには気の毒?ですが、薬剤を使わずに、ほぼ完全に駆除できます / 右 :天日乾燥して植え付けた圃場。被害は全くありません


 この方法だと、薬剤を全く使わずにネダニの防除ができます。また、ネダニと関係が深い病害である「乾腐病」の発生も減らせる可能性があります。

 しかし、この種球の天日乾燥、生産現場ではなかなか受け入れてもらえません。その原因の1つに、「種球を天日乾燥させると傷んでしまう。」という認識があるためです。


 確かにネダニに深く寄生されたり、乾腐病に冒されたりした種球は乾燥させると傷みます。ネダニ被害が大きい生産者ほど傷む種球も増えるので、「どないしてくれるんじゃ!」と怒鳴られる事もしばしば・・・。そんな時は「乾燥後に傷む種球はもともと悪いものなので、選別する良い機会だと思ってください。」とお話ししています。

 このように、対策技術は見出せても、生産者に普及させるには、思わぬ障害が発生することがあります。これも普及という仕事の醍醐味なのかも知れません(もちろん無い方が良いのですが・・・)。とにかくがんばります!


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吉原 均

徳島県美波農業支援センターの吉原均です。野菜・作物担当で「きゅうり」、「いちご」、「水稲」、「藍」を担当しています。

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