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埼玉県
鈴木知子

三相分析をする

2009.01. 6

 以前、「土壌診断をする」と題して土壌化学性の分析について書きましたが、今回は鉢物用土の物理性分析についてです。

 鉢物の根は、鉢の中という限られた環境の中で、水や養分を吸収するだけでなく呼吸もしています。土壌の保水性が良いと水やりの労力の軽減ができ肥料のもちも良いですが、通気性も確保しないと根が酸素を吸えなくなり根腐れします。保水性、透水性、通気性といった物理的性質は、土壌の中の固相(土)、液相(水)、気相(空気)の容積割合である三相組成と関係が深いので、その分析をしてみました。

採取した土壌をポットに入れる。土壌表面までの容積を100%とする  土壌表面まで水を入れたあと、30分の間に鉢底から落ちる水の割合が気相率
左 :採取した土壌をポットに入れる。土壌表面までの容積を100%とする / 右 :土壌表面まで水を入れたあと、30分の間に鉢底から落ちる水の割合が気相率


 鉢物用土の三相組成は、使用資材の種類や割合を良く反映しています。安価に入手できる赤土の割合が高いと、重くて通気性の悪い土になってしまいます。堆肥などの有機物が多いと、比較的大きな隙間ができて気相率が高くなります。鉢物苗物生産者に対しては、有機物の割合を増やして保水性、透水性、通気性が良い土を作ろう、作業性も考えてあまり重くない土を作ろうと呼びかけてきています。目標は気相率10~20%の土壌です。写真に写っている土壌は気相率12%、合格でした。

 物理性と化学性、両方がよい状態でないと良い土壌といえません。また、コストも考えなくてはいけません。土壌は難しく、奥が深いです。


(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

鈴木知子

埼玉県さいたま農林振興センター普及部の技術普及担当で、主に花植木と経営を担当しています。 埼玉県では女性農業改良普及員の1期生です。 農家と、若手の普及指導員が、夢を持って活動できるように支援していきたいと考えています。

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