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大分県
塩崎洋一

昔の人は凄い

2023.03. 9

 この日訪れた農家さんの庭先で、思わずスマホを向けたのが、2階建ての、この古い牛舎。
 

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見た瞬間、牛小屋、というよりも「作品」でした。これを作った職人さん「すげえ、かっこいい」と思ったのです


 何がすごいのかといえば、2階を乗せたこの梁と桁です。曲がった木をそのまま使っています。この曲がった梁や桁の上に乗っている2階の床は、当然水平です。
 この造りを見て想像したことのひとつは、これを建てた職人さんの「粋」です。まっすぐな材料を使えば仕事は楽ですが、こうした自然の形を活かすことで、「かっこいい」というか、思わずうなってしまったのは私だけでしょうか。
 もちろん、こうして使う方が、構造材として強度が増すのもあります。建築技法と芸術性と言いたいところですが、素人なのでこのくらいにしておきます。

 もうひとつは、曲がった材料を横向きに使う時に、端と端の水平をどうやって決めたのか、です。
 横は面を取っているので、糸で墨を打ち、その線で水平を見たのだと思いますが、数メートル離れた柱の先端をどうやって水平をとったのか、です。
 読んで字のごとく「水」を使ったに違いありません。


 「水盛り」という言葉がありますが、今のような水平器やレーザーのない時代に(といっても昭和ですが)、こんなことがありました。
 わが家で部屋を増築する際に、大工さんがビニールホースを持って来て、中に空気が入らないように水を入れました。そして、基礎の端と端にホースの先端をそれぞれ突き建てて、ホースの中で水の動きが止まるのを待ちます。すると、基礎の向こうとこちらで、ホースの中の水の水面が同じ高さになったのです。
 この子供時代の驚き体験が、牛舎の環境改善に役立ったのは言うまでもありません。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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