「『絆』物語」その後
2020.03.16
以前私が投稿した「『絆』物語」のK農園さん。その後色々ありました。
▼「普及活動『絆』物語」賞を頂きました
▼絆物語 Part2
▼「チームK」始動
私が前任地を離れて2年後の、一昨年秋のことです。担当のH普及員に奥さんから「どこかで資金借りられないかな?」とのメールがありました。
そのメールを彼女が受信した時、これまた偶然というか、県の若手普及員研修のワーキンググループで、私がアドバイザーとして、隣に座っていたのです。たしか、「なんで、もっと早く知らせて来ないのか」と言ったような記憶が・・・・
年が明けて平成31年1月、早速Hさんに資金繰り作成の間接アドバイスと、あとは、休日に少々お手伝い(それが良いかどうかは別の議論)。
そして、これまでもいくつか紹介したとおり、銀行に相談することにしました。
私の管内では地銀のM支店、K農園さんの町はS支店です。まずはH普及員がS支店へ打診に行きました。もちろん私は、M支店の支店長経由で、S支店に口利きをお願いしました。
過去実績3年の赤字で、相変わらずの債務超過(固定負債は延滞なく返済して来ています)状態では厳しいと思いつつでしたが、案の定、S支店からは融資不可の返答。もう打つ手がないと思いながらも、どうにかしようと考えていた翌日、M支店の支店長から「うちで話を受けます」との電話。天地がひっくり返るミラクルでした。
そして、運転資金を何とか確保し、前年まで繰り返してきた買掛け未払いの精算、当年度発生の経費の精算に加えて、次年度への仕込み経費などを精算し、この1年で負のスパイラルは、一気に逆転したのです。
後ろ姿が調査研究チーム、K広域普及員、現地の経営担当Y普及員、右が花担当のH普及員。この日はチームのラストミッション、現地検討でした
もう5年ほど前になりますが、あの「物語」の時と何が違うのか。
普及の側としては「うまくいった」ですが、経営の側からすれば、運が良かったとしか言いようがありません。
つまり、K農園を取り巻く誰かのうち(とくに人的な関係において)、一人が欠けていても、違っていても、このミッションは成功しなかった、と言えるからです。
昨年3月末に運転資金融資を確保し、今年度は経営広域普及指導員と一緒に、現地の調査研究をグループで取り組む体制にし、管轄外の私も顔を出せるようにして、フォローアップをしてきました。
※ H普及員は、令和元年度「第7回農業普及活動高度化全国研究大会」において、農林水産省生産局長賞を受賞しました。詳細はこちらをご覧ください