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大分県
塩崎洋一

「簿記=経営」ではないですよね

2013.10.29

 認定農業者や新規就農者、女性農業経営士のみなさんを対象に、いろいろな形で経営の勉強会が行われていることと思います。
 ところで、「簿記(経理)」と「経営」は、意味合いが違うと位置づけての検討がされていないと感じるのは、私だけでしょうか。


 平成の初めの頃、パソコン簿記が普及し始めました。農家さんに簿記の重要性、経営を計数管理することの意識向上などを目的に、パソコン簿記を手段として進められたと思います。これは今も当時も変わりません。
 ところが、農家さんによっては、この手段と目的が逆転している方もいます。というよりは、根本的に記帳作業、経理作業を農業経営における重要な仕事と思っていないフシがあるようなのです。


 このような意識の根底にあるのは何か。
 いろいろと考えてみるに、これは、税金を「とられる」否「盗られる」という意識ではないか、と思ったのです。次には、「税金をとられたくない」「払いたくない」、そして「とにかく払わなくてよいようにしたい」と考えるようになる。つまり、「払うべきものは払い、払わなくて良いものは堂々と節税する」というような経営感覚ではない。だから、年が明けてから帳簿を整理し、申告だけ済ませれば良し。なんて感覚になるのでは、というようなところです。


 私の両親は肥育経営をしておりましたが、税金に関しては「たくさん払わなければダメだ」と言っていました。
 母親は毎月1~2日間、帳簿の日を決めて、その日は金融機関を回って通帳記帳や支払いをし、そして帳簿整理です。パソコンも普及していない頃ですが、自分なりに毎月の残高試算表を作っていました。わが家に関わった普及の先輩も感心していたことです。


 経営担当普及員として、「どう考えても、簿記=経営、ではないよな」なんてことを考えているのは、私だけなのでしょうか・・・・


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いつもの研修会とはやっぱりどことなく雰囲気が違います


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なかには、 「ささっと数字を入れれば、あとは、パソコンが全部やってくれるんでしょ」 なんて話をする人もいます。この意識を変えるのは、大変です

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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