普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2025年3月

blog_hukyu_katano_f.jpg 秋田県
片野英樹

先輩普及員の影響は大きい

2025.03.31

 秋田県由利地域振興局農業振興普及課の片野です。定期人事異動により4月から普及から離れることになりました。


 普及指導員となって三十数年、来年度以降しばらく普及現場から遠ざかることになります。今まで現場でお世話になった農業者の皆様、全国の普及指導員の皆様、全国農業改良普及職員協議会の皆様、全国農業改良普及支援協会の皆様ありがとうございました。順調にいけば4年後には、また普及現場に戻っていると信じて頑張ります。


 ふと、新任普及員だったころを思い出しました。
 非常にアクティブな先輩につれ回されて、もとい、つれて行っていただいて現場の大切さを学びました。課長になっても、課内のマネジメントを行いながらできるだけ現場に出ようとしていたのは、あの頃の経験があったからでしょう。つまり、先輩普及員の資質をそのまんま受け継いだということです。


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若かりし頃の指導風景


 ということは、わたしが先輩普及員として新任普及職員を指導することは、アクティブな先輩の資質を次世代に承継していることになります。普及職員は個性的なキャラが多く指導方法も千差万別のため、なんだか恐ろしくなりました。今で言うところの先輩ガチャでしょうか。


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あいさつまみれの現在


 近年、多くの普及職員は普及業務に加え補助事業も担当しており、全体的に現場にでる頻度が下がったように思います。補助事務が一段落してから現場という感じです。連綿と受け継いだ大先輩のよい資質も徐々に薄れてきているのかと思うとさみしいかぎりです。4年後戻ってきたときには、大先輩のよい資質を復活させ若手職員の育成にいそしみたいと思います。


 年度末、近年にないくらい忙しいです。はたして荷物をまとめて出て行けるのでしょうか?

片野英樹

秋田県で平成4年度採用から普及指導員ほぼ一筋で30年経ちました。主に水稲・大豆担当でしたが、一時期集落営農や法人育成にも携わりました。現在は裏方として、水稲新品種「サキホコレ」の普及に取り組んでいます。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

猛獣を育てるのは

2025.03.28

 皆さんは、白けた座談会に出たことはありますか?
 私は何度もあります。

 私が講師として呼ばれた時も、私が住民として参加したときも・・・です。
私が講師として何を話しても賛成してくれる・・・。そして誰も意義を唱える人はいない。ついでに、誰も笑ってくれない・・・。ツライ・・・。

 そんな時に脳裏に浮かぶのは、アキラメって言葉です。
「どうせ地域活性化なんかできっこないし、とりあえず『イギナーシ』って言っておけばいいんだよ」って、人々の声が聞こえてきそうです。
 皆さん、お土産だけもらって静かに帰っていきます。


・・・と言った、ここまでの長い前フリをしたのは、冷めた地域の振興には強いカンフル剤が必要だと言いたかったのです。


 今から3年前、新型コロナウイルスによる行動制限が敷かれる、地域活動がはばかられる中での話です。「地域おこしなんて、できっこない」そんな時期に地域振興の牽引役、調整役に「猛獣のような中間支援組織(地域振興を得意とするNPO等)」を、私は五所川原市の三好地区へ送り込むことにしました。

 そして彼らと一緒に三好地区に入ってみると、そこには私が個人的に猛獣認定したくなるような住民が「運の良いこと」に沢山おり、感染対策をしながらもマスク越しに声高らかに意見をぶつけることになったのです。そして三好地区の座談会の場で中間支援組織と激しく衝突する私(普及指導員)も、住民には猛獣に映っていたことでしょう。


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必要なのは猛獣だ


 私は、こういう意見がぶつかる座談会が大好きです。本気で地域を思うからこそ、意見がぶつかるのだと思います。中間支援組織に対して、極めて厳しい言葉をぶつける協議会会長に対して、私は心の中で拍手を送っていたんですよ。ホント!


 そんな話の一方で、これを読んでいる皆さんに質問です。
 「地域振興を支援する中間支援組織とは、地域に完璧な未来を示してくれる神様でしょうか?」
 おそらく違うと思います。医者のタマゴが多くの患者から学ぶように、そして普及指導員が多くの農家の「あんなこと、こんなこと」から学ぶように、地域振興を目指す中間支援組織を育てるのは、他でもない地域住民なのです(と断言!)。


 私は、転勤で今春、この地から離れることになりました。
 転勤にあたり、私が中間支援組織に伝えたのは、「三好地区をよろしく頼みますよ」です。
 そして、地元住民に伝えたのは、
「地域振興を専門とする(猛獣みたいな)中間支援組織を育てるのは、ここに住む住民ですよ。」・・・ってことです。


追伸
 このブログを読んで腹を立てたとしたら、中間支援組織のリーダー! ごめんよ!
 文句があったら、いつでもLINEしてほしい。皆さんの事務所(通称:アジトという)へ行って、夜明けまで「地域振興ってなんだっけ」って議論をしよう。
 私が勝手に「猛獣認定している皆さん」に会えて、本当に良かった。


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ステキな農村RMOのイメージ・・・? いいAI画像が作れないのよー(TへT)

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

blog_hukyu_katano_f.jpg 秋田県
片野英樹

慣れてきたあいさつだったのに...

2025.03.19

 秋田県由利地域振興局農業振興普及課の片野です。
 早いもので令和6年度も残すところあと2週間となりました。

 当課で課長を拝任して2年が過ぎようとしています。以前のブログでも記載しましたが、不慣れであったあいさつもパターンをつかんできたせいか、ある程度流ちょうに述べることができてきました。


 しかし油断大敵です。
 普段はいつでも現場に出動できるよう作業着で通勤しており、セレモニーがある時はスーツを持参しているのですが、すっかり失念して作業着だけで出勤してしまいました。
 2月の寒い日に某組織の総会であいさつを依頼されていましたが、もうどうにもなりません。
 幸いネクタイは事務所においてあったので、少しでも正装に見える様に、ネクタイを締めて、作業着の上着を脱ぎ、寒さに耐えながらYシャツ姿であいさつをしました。下はもちろん作業ズボンです。丁寧にお詫びの言葉を挟みながら無事あいさつは終了しました。


 本来であれば、慣れたあいさつの写真をアップするところですが、課員が気の毒がって気を遣ったのかわかりませんが写真はありませんでした。なので、過去の写真を掲載します。


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 年度末でいろいろ忙しくなっていますが、体調をくずして休んでしまえば元もこうもありません。健康に留意し年度末を乗り越えましょう!

片野英樹

秋田県で平成4年度採用から普及指導員ほぼ一筋で30年経ちました。主に水稲・大豆担当でしたが、一時期集落営農や法人育成にも携わりました。現在は裏方として、水稲新品種「サキホコレ」の普及に取り組んでいます。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

必要なのは、猛獣か?

2025.03.14

 これを書いているのは令和7年の3月上旬。公務員なので転勤を強く意識するタイミングです。
 いつもと違って、少しだけ真面目なことを書こうと思います。


 農業改良普及指導員として、「少子高齢化、人口減少社会において、農村をどうやって維持していくか」をテーマに、この6年間お仕事をしてきました。
 農業改良普及指導員なので、「農家を相手に話をすれば良い」と思っていたのは最初の数か月で、すぐに他産業の人々も巻き込まなくてはならないことに気が付きました。モデル集落の僅か2割にも満たない農家だけで「集落を動かす」なんて、とても無理な話なのです。実際に集落には農家だけでなく、保育園があり、学校があり、お店があり、福祉施設があり、政治家も大工さんも土建業の人も、リサイクル業者の方もいます。
 私が「農業」という分野だけに限って、農村を運営する組織、いわゆる農村RMO(Region Management Organization)を形成するのが無理だとすぐに気が付いたのも、皆さんにご理解いただけると思います。


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農村RMOを牽引する仲間達(五所川原市三好地区にて)


 つまり、私の業務は、普段からお付き合いのある農家だけでなく、「人口減少社会の中で、全く知らない分野の人々を巻き込んで農村という地域を運営する組織を作る」ということだったのです。非常に壮大な話です。
 誰か先に教えてよ。ヽ(`Д´#)ノ怒!


 さらに、組織を運営するために必要だと気がついたのは、
①人が集まって組織として機能すること。
②組織運営に必要な活動費が確保できること。
③組織の新陳代謝が毎年のように行われること。
 ということに気づきました。
 組織なので、人が集まらなくてはならないし、それぞれの人が能力を発揮して、組織としての総合知を発揮できるように機能しなくてはなりません。さらに「お金」というか運営するための「お金」が必要なのです。2回もカッコ書きで強調するほど、農村を運営する組織を維持するためには「お金」が大事なのです。いつまでも補助金は期待できないし、ボランティア精神だけで運営できるほど、集落社会は「お金」に余裕がある訳ではなく、「時間」に余裕がある訳でもないのです。


kasahara_32_2.jpg
多くの人がボランティアで関わっているのです


 さ・ら・にー、組織は作って終わりではないのです。
 毎年でもメンバーが少しずつ変わる組織でないと、組織内のヒエラルキーが固定されるし、考え方も硬直します。ただ集落組織の場合は、引退を勧告しなくても、足が悪い、心臓が悪い・・・というような理由で、一人二人と抜けていくので、重要なのは新しいメンバーが「面白そうね!どうか私も入れて!」というような魅力的な組織を作ることが大切だと気づきました。


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農村RMOは、一人ではできません。地域に佇む人に協力の手を差し伸べよう


 ちょっと話がズレますが、最近読んだIT関係の本で使われていた「IT業界は猛獣の宝庫である」という言葉に心惹かれました。優秀なITエンジニアとなると、突出した才能とともに、突出した個性まで持ち合わせているそうで、彼らをまとめあげ最大の利益を叩き出すマネジャーは、まさに「猛獣使い」のような立場だそうです。

 そう! 
 猛獣の宝庫、そして猛獣使い!
 IT業界のみならず、活力を失いつつある日本の農村に必要なのは、猛獣なのかも知れません。


 と、訳のわからないフリを入れて話は次回に続くのです。
 次回は、強引に猛獣の話に誘導した理由を書きます。ここに転勤の不安を抱えた私が絶対に伝えたくなる農村RMOに対するポリシーがあるのです。


 To be continued !

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

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