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◆2024年6月

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

幸せの始まりと夢の終わり

2024.06.27

 先月の投稿からして、当然のことながら「播いた種は、ちゃんと育てるんだよ」
「人々や集落を育てるには・・・」なんてことを書かなくてはならないのですが、今回はそれどころではないのです。
 まさに青天の霹靂(「晴天」と書かなかったのは、青森県のブランド米を意識してのことです)、光芒一閃、滄海桑田(そうかいそうでん)、急転直下の大展開と言いたいところですが、あまりにドラスティックにしてドラマティック、怒濤、激変、疾風のごとく、さらに先の見えない不安を加えて表現すれば、まさに一寸先は闇・・・。早く本題に移ればいいのに、そんな言葉を長々と並べてみたくなる程、激しい動揺っぷりなのですよ、私は・・・。


 さて、気を取り直して、ここ最近の急変をご報告したいと思いますと書きつつも、現在進行形なので具体的に書けないのですよ。迂闊に書くとデジタル媒体にも関わらず、黒塗りの伏せ字だらけという前代未聞の普及ブログになりそうなのです。でも急変なのです。

 少なくとも、住民が目指す方向へ「トントン拍子」で進んでいるのです。それは、言えます。しかし、急速な円安と同様「急速に急変」するのは、やはり多くのリスクを孕むのです(結局、何が言いたいかわかりませんね!事が済んだら、何らかの形で発表します)。


 話を戻します。
 青森県西北地域におけるモデル集落は、この2年間の普及活動が功を奏し、強固で確固たる信頼関係が芽生え、「自分の地域は、自分達で守る」という金城鉄壁の絆が培われました。この状態を、私や関係機関は、便宜的に第1ステージと呼んでいます。例えれば、駆け出しのアイドルグループが「どんな困難にも、決して私達は負けないわ!」と、目をキラキラさせながら夢を語っているステージです。この時は、どんな苦しみであっても、苦しみが苦しみではないのです。

 私にも、そんな時期がありました(←どうでも良い)。


kasahara_25_1.jpg


 しかし!
 しかしですよ。アイドルグループにも集落の育成にも、第2ステージがやってくるのです。
 デビュー直前にして100万回の動画再生回数を1日で達成! 東京ドームコンサートは、満員を越える満員。チケット代は転売が横行するほどに跳ね上がり、さらに、「いくら稼いだんだろー」と青森銀行で記帳すれば、記載される桁数を越えた未曾有の金額! ちなみに私は、そんな通帳を一度も見たことがありません。


 幸せの始まりと夢の終わり。
 「これからも伝説のアイドルと呼ばれるよう精進します!」とテレビカメラに向かって、がっちり肩を組んでお互いを称え合うのもつかの間、この瞬間にメンバーの絆には、太くて大きな楔(くさび)が打ち込まれるのです。
 金と労働、責任と苦労・・・、全てをきっちりと分配するのは難しく、グループ内に不穏な空気が漂うのです。


 そうです。
 私が担当しているモデル集落は、この第2ステージに入ったのです。当然のことながら、地域のためにやってくるだろう移住者の受入に対しても、それを支える金銭的な負担や、責任の所在、今後の運営方針について、一丸となっていたはずの住民の間に温度差が生じました。
 ただ、地域運営の難しさは、人間関係の難しさとほぼ同義に感じます。当然、見切り発車に見える地域住民組織の決断に「不満、不安」があっても、意義を唱えるのはなかなか難しいものです。そこに地域の人間関係の難しさを感じます。

 しかし、ここは「住民でない誰か」が言わなくてはなりません。
こういう場合は、普及指導員が言うべきなんでしょうか?なかなか悪い役回りです。


「皆さん、あまりにも急激に物事が進んでいます。ここは少し慎重になるべきではないでしょうか?」

 私のセリフは、勢いに乗っている地域の動きにブレーキをかける「お役所」の発言として受け止められたことでしょう。この日、私は集中砲火を受けることになります。県と中間支援組織(県と住民の間を仲介するNPO)、住民の間にまで広がる「大きな意見の隔たり」が見えた瞬間です。


 これは、私だけでは手に負えないので、職場の上司にも入ってもらって、中間支援組織の職員3人と、3時間近くかけてじっくり、そしてしっかりと話し合ったのです。その途中経過を書けないのが、本当に残念です。


 結論として、県は、中間支援組織に「これまでどおり地域の中で一緒に汗を流すような活動をしてもらうこと」、「普及は一歩下がって地域を見守ること」を確認しました。担当の私としては、本当は野菜の産地づくりよろしく、ガンガン地域に入って地域をリードしたかったのですが、「船頭多くして船山に上る」という諺もありますよね。ですから、ここは腹を括って(指を咥えてではない)、ここは中間支援組織や住民の意向に任せようと思ったのです。

 私がこれまで見聞きした限りでは、第2ステージを難なく乗り切った地域の例は知りません。ここは、じっくりと見守りたいと思います。
 事実は、小説より奇なり。


kasahara_25_2.jpg


<おまけ>
 最後のイラストに、今回のブログで書きたかった全てが込められてます。謎解きは、数年後になるかもしれません。

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

blog_hukyu_katano_f.jpg 秋田県
片野英樹

スマート農業指導士としての活動

2024.06.18

 秋田県由利地域振興局農業振興普及課の片野です。昨年度に引き続きみんなの広場「普及指導員ブログ」コーナーに不定期に投稿してきます。今年度もよろしくお願いします。


 6月7日、管内の農業系がある高校でアグリセミナーを開催しました。
 毎年、農業を志すであろう生徒の皆さんに、農業研修事業や先輩農業者の講話等を行っています。3年前から学校の先生よりスマート農業についても情報提供してほしいと要望があったため、私が様々な取り組みを紹介しました。


blog_katano9-2.jpg
アグリセミナーの一コマ


 先輩農業者は話術に長けており、当然時間が押してきて、最後は私で時間調整です。
 熱い思いを伝えたかったのですが、急いでの説明なので、自分が暑くなって終わりました。それでも、無人トラクターや無人田植機の動画に興味を持って聞いていたようです。彼ら、彼女らが就農するときは、どんな世界になっているんでしょうね。


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スマート農業を説明する筆者


 話は変わりますが、3年前から秋田県立大学でスマート農業指導士育成プログラムが始まっています。私は初年度に応募し、凝り固まった脳みそをフル回転させながら、どうにか「スマート農業指導士」の認定をいただきました。
 今回の情報提供もスマート農業指導士の任務であるスマート農業普及の一環です。


 いつ何時、スマート農業に関する相談が来るかわからないため、日々情報をアップデートしていますが、最新の情報にどこまでついていけるやら。それでも、衛星画像データを活用した栽培技術の確立や環境データを活用した収量・品質の向上などの実証に携わりながら、民間企業等からの情報収集と自身のブラッシュアップに努めたいと思います。

片野英樹

秋田県で平成4年度採用から普及指導員ほぼ一筋で30年経ちました。主に水稲・大豆担当でしたが、一時期集落営農や法人育成にも携わりました。現在は裏方として、水稲新品種「サキホコレ」の普及に取り組んでいます。

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