普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2024年1月

島根県
長妻武宏

島根の子牛初セリ

2024.01.30

 子牛の初セリが、今年も益田市にある西部子牛市場から始まりました。


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 島根県内では、西部、中央、隠岐(各島1か所計4か所)で子牛の市場が開設されますが、毎年1月は、西部子牛市場からセリが始まります。


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 今年最初ということで、知事のあいさつの後にセリが始まりました。
 例年、1月市場は天気が荒れるイメージがありましたが、今年はおだやかな天候となり、会場では牛汁も振舞われました。価格も、前回から16,489円上昇しました。


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 今回の子牛市場には、昨年度管内で繁殖農家を目指して就農した新規就農者の初出荷もありました。発育も良好だったので、セリ価格も平均以上となり、ひと安心でした。資材費が高止まりしている状況なので、飼養管理技術のほか、経営についてもしっかりとフォローしていきます。

長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

島根県
長妻武宏

「角太郎」現場後代検定のためのオークション

2024.01.25

 松江市にある島根中央家畜市場で、次世代種雄牛づくりの第一歩となる、現場後代検定のための子牛を購入する肥育農家を決めるオークションが開催されました。


 ここに至るまでに、直接検定が実施されます。
 島根県では、県内で生産された子牛の能力(育種価やゲノム)・血統・体型などの条件で選抜された子牛を畜産技術センターで飼養して、その中から選ばれたのが、今回の種雄牛「角太郎」です。
 この角太郎を父親とし、県内の繁殖農家が約1年半かけて生産した子牛の中から18頭が選抜されます。その後、県内の肥育農家等が子牛を購入し、約20か月飼養して出荷されます。一般販売された枝肉の成績や評価、人気などにより、「角太郎」の繋養される期間が決まっていきます。


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牛の下見


 浜田管内では、2戸の繁殖農家から1頭ずつ子牛が出品され、それぞれ県の畜産技術センターと出雲市の肥育農家に販売されました。


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出雲市の肥育農家に販売が決まった子牛


 島根県では通常のセリではなく、評価額を決めて入札(重複した時には抽選)となるので「オークション」と呼んでいますが、正式には「後代検定調査牛導入調整」です。

長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

島根県
長妻武宏

鳥獣研修会

2024.01.17

 浜田市三隅町は、海岸線からすぐに山に向かっていく地形です。まとまった平地が少ないということもあり、柿が約20ha栽培されています。

 イノシシ被害も多く、電気柵やワイヤーメッシュで農地を囲むのは当たり前の地域ですが、西中国山地個体群として保護されているツキノワグマも生息しています。これが柿農家にとっては厄介な存在で、出会わないようにすることも大切ですが、農地への侵入を防止するために、ワイヤーメッシュの上に電気柵を設置するなどの方法で対応しています。しかし、農地へのクマ侵入を完全に防ぐという状況には到達できていません。


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 そこで、今年度の実証として、電気柵の電圧の状況をスマートフォン等で確認できる機材を設置しました。
 また、クマの農地侵入低減を目指して、研修会も実施しました。
 この地域には、ニホンザルは、ほぼいないという状況です。


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長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

blog_hukyu_kasahara2_f.jpg 青森県
笠原 均

そう簡単な話ってないよね

2024.01.11

※前回の投稿はこちら


「どうして三好地区に県職員が来るんだ?」
「モデル集落なんて、勝手に決めないでくれ。」
「あんたらは金をもらって仕事で来ているのかも知れないけど、うちらには一銭もでないんだよ? なのに、なんで俺たちは座談会に集められているんだ?」


 令和4年度に入って前任者から引き継いで出席した五所川原市三好地区の住民座談会は、震える程の緊張感からスタートしました。
 もちろん前任者にも言い分があって、「コロナ禍であって、人を集めることができずコミュニケーションも全く取れなかったんだ。」とのこと。

 それはもっともな意見で、おそらく自分が担当していたとしても、令和3年度に「みんなで集まってコミュニケーションを図りましょう!」と言ったら袋叩きにあっていたかも知れません。


 少なくともすぐに気付いたのは・・・
・我々は招かざる客である。
・この事業をこの地区でやることになった理由が全く理解されていない。

 そもそも、三好地区の人達は我々を必要としていない・・・それが良く伝わってきました。
 まるで、よく切れないチェーンソーで金属板を切り裂くような声で、さらに直立して怒りをぶちまける住民・・・。


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 この時、私が頭の中で考えていたのは、「あー、このシーン。写真に撮っておきたいな~」ということでした。
 実は、私はシナリオどおりの静かな意見交換会や座談会が大嫌いで、こういう本気炸裂の意見交換会がやりたかったのです。
 そして、この場で、我々普及指導員にとっての盾、住民の的になったのは、中間支援組織「NPOジャズネットワーク」です。歓迎されると思いきや、打たれまくりです。・・・まさに「忌憚のないご意見」のパンチ炸裂です。


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「今まで色んな人が来て、地域おこしや地域再生の話があったんだ。でも全部ダメだった。全部ダメ! もう今さらダメなんだよ。」 


 だが、ここで中間支援組織の代表の川端氏が勢いよく立ち上がりました。
「村木さん(仮名)! もう出来ないっていうのはやめましょう! これまではできなかった。でも、今度こそやるんです!」


 あまりの迫力に、会場は静けさを取り戻しました。
 私は心の中でつぶやきました。
「あー、やっぱりこのNPOに頼んで良かった。」
 住民に怒鳴られて怯むようなNPOなら、最初から一緒に仕事したくなかったのです。


 そして、沈黙を守っていた普及指導員である私も流石に発言!

「なぜ三好が選ばれたのか、今さら理由を話しても仕方がないでしょう。今、ここに集まった我々は偶然集まったのではないと思っています。私達は偶然ではなく、必然として今日ここに集まったんです。20年後の地域の子供達が、きっと今日からの我々の活動を評価してくれるはずです。一緒にやってみませんか。もう一度(倒置法引用)。」


・・・きまった。d(゚∀゚*)


 座談会は多少の火種は残しながらも、心を許しあった者同士が見せる穏やかな表情で終えることができました。たぶん。


 座談会終了後、中間支援組織代表の川端氏が言いました。
「笠原さん(私)、ごめん・・・。怒るつもりはなかったんだけど、できない理由ばかり挙げるから頭に来ちゃって・・・」

 私は、こんな中間支援組織と一緒に仕事がやれて、本当に幸せだなと思いました。


to be continued.


<追記>
 この文章は、文字数の制限で3回の座談会での出来事を短縮して記載しています。よってフィクションぽさが出ていますが、これが「現実」です。なお、個人名も今後の運営に差し支えないよう配慮していますが、実在しています。これが現実です。

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

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