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◆2023年3月

大分県
塩崎洋一

昔の人は凄い

2023.03. 9

 この日訪れた農家さんの庭先で、思わずスマホを向けたのが、2階建ての、この古い牛舎。
 

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見た瞬間、牛小屋、というよりも「作品」でした。これを作った職人さん「すげえ、かっこいい」と思ったのです


 何がすごいのかといえば、2階を乗せたこの梁と桁です。曲がった木をそのまま使っています。この曲がった梁や桁の上に乗っている2階の床は、当然水平です。
 この造りを見て想像したことのひとつは、これを建てた職人さんの「粋」です。まっすぐな材料を使えば仕事は楽ですが、こうした自然の形を活かすことで、「かっこいい」というか、思わずうなってしまったのは私だけでしょうか。
 もちろん、こうして使う方が、構造材として強度が増すのもあります。建築技法と芸術性と言いたいところですが、素人なのでこのくらいにしておきます。

 もうひとつは、曲がった材料を横向きに使う時に、端と端の水平をどうやって決めたのか、です。
 横は面を取っているので、糸で墨を打ち、その線で水平を見たのだと思いますが、数メートル離れた柱の先端をどうやって水平をとったのか、です。
 読んで字のごとく「水」を使ったに違いありません。


 「水盛り」という言葉がありますが、今のような水平器やレーザーのない時代に(といっても昭和ですが)、こんなことがありました。
 わが家で部屋を増築する際に、大工さんがビニールホースを持って来て、中に空気が入らないように水を入れました。そして、基礎の端と端にホースの先端をそれぞれ突き建てて、ホースの中で水の動きが止まるのを待ちます。すると、基礎の向こうとこちらで、ホースの中の水の水面が同じ高さになったのです。
 この子供時代の驚き体験が、牛舎の環境改善に役立ったのは言うまでもありません。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

大分県
塩崎洋一

久々の環境改善②

2023.03. 6

 経営の良い農家さんと厳しい農家さんを比較すると、あることに気づきます。
 私の実家でもそうでしたが、農場の滞在時間が違うのです。これはきっと「観察の差」と「対応スピードの差」になって、結果が違ってくるのではないかと思います。


 前回記事「久々の環境改善①」で、数日間続けて作業する中、機械で牛舎清掃する、いわゆる牛舎のボロ出し(牛さんのウンチの掃除)風景を目にしました。
 奥さんが機械を器用に扱って、出入りしながら作業していましたが、これまた作業性が良くない。牛舎を出入りして堆肥舎まで運ぶ工程が不便なのです。
 そこで、出入り口を広げることとなりました。


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左側2本の鋼管パイプを外して出入りします(上画像)。
その真上の小部屋は以前、稲わらをカットして斜めに落とし、手前から取り出す、稲わらボックス(下画像)でした。取り急ぎ、邪魔になる斜めの部分は撤去しましたが、やっぱり出入りには幅が狭いのです


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柱を差し替えて、古いパイプは新しいパイプを固定するために縦向きに使う。新しいパイプは、倉庫の中に眠っていたのを持って来ました。この牛舎の中の清掃作業は、約1時間短縮されました


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古い牛舎ではよくあることですが、床の基礎にハイキン(コンクリートの床の中に鉄筋の補強)がありません。機械の出入りするところがひび割れていたので、稲わらボックスの落とし場所を整理した後は、生コン打設をやり直しました。K普及員が黙々と地ならしをしています

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

大分県
塩崎洋一

中山間地の田舎でも・・・・

2023.03. 2

 この日の巡回は、管内でも特に中山間地域になるところです。「特に」と言っていますが、どこもかしこもそんなところですが。


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山の奥、ここよりも他にまだまだ奥地に、もっと多くの牛さんが並ぶところがあるのです


 そうした場所にあるいくつかの農家さんを訪れるうちに、あることに気づかされました。
 こんな田舎でも、2反か3反の土地があれば、肉用牛経営なら「やっぱりこうなるなあ」ということです。それは、10a当たりの売上で、当然ながら農業経営で生活する経営効率とも言えるかもしれません。


 仮に、30aの土地で牛を飼うなら、自給飼料作付けは別にしても、おおよそ50頭規模は可能です。堆肥舎や防疫対応を考慮してもできると思いますが、いかがでしょうか。
 この場合、近年の相場であれば、年間の売上は3,000万円を期待できます。もちろん、産地によってはそれ以上でしょう。10a当たりでは1,000万円です。所得率が2割でも年間600万円です。


 もちろん、牛さんを飼うので、他業種にはな無い拘束性はありますが、そこはやり方次第です。
 加えて遊休地の放牧活用などなど、中山間地域が故に一般的には負の財産的イメージのものが、やり方次第で充分に使えます。
 マイナス面が大きなデメリットと思える要因・要素も、見方や価値観が変われば、その絶対値は、ひっくり返って大きなプラスのメリットになります。
 「-10」より「-100」が、ひっくり返れば「+10」より「+100」となります。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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