普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2021年6月

blog_fukyu_gotom_f.jpg 大分県
後藤美智子

June drop

2021.06.29

 梅雨がすすみ、私の地域の特産果樹である"かぼす"では『生理落果』がはじまっています。生理落果とは、新梢と果実の養分競合です。
 くもりや雨の日が続き、光合成でつくられる養分が不十分だと奪い合いに負けた果実がぽたぽたと樹から離れていきます。


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左 :生理落果で落ちた果実  / 右 :生理落果後の樹上


 それにしても、今年のかぼすは着果が多すぎて、巡回する私は早く生理落果が起きることを祈っていました。かぼすの適正着果量は、『20枚の葉っぱにつき1果』です。今はまだ、5枚の葉っぱに1果くらい着果しています。
 初期肥大にかかわるし、必要以上に残った果実を摘果するのはひと苦労なため、
早く落ちろ、早く落ちろと念じています。


 落ちなかったときは・・・
「どうしたものか」
と園地で出会った生産者がつぶやかれていました。そこで、
「枝ごと落としていいんですよ。来年の枝(結果母枝)は切らないように気を付けながら、果実ばっかりの枝は、摘果のかわりに間引きましょう」
とお話しています。かぼすは、8月に入ると収穫をはじめるため、いかに効率よく手をかけられるかが、ポイントです。


 下の写真は、出荷のはじまっているハウスかぼすのものです。包丁をいれるとそれだけで果汁が、ぷしゅっとはじけます。それぞれの地域には、その地域ならではのすっぱいかんきつ類があると思います。その中の一つとして今年の夏は、かぼすを見かけたらぜひ絞って味わってみてください。


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左 :6月から出荷のはじまっている加温かぼすの断面。ジューシー
右 :7月から出荷する無加温かぼす果肉の色の違いをみてください


 かぼすの由来、料理での使い方は、以下を参照ください。
 ▼大分県カボス振興協議会 ホームページ

後藤美智子

大分県豊肥振興局にて“果樹に関わる人を地域に増やす・地域にやりたい仕事をつくる”を目標に普及活動に取り組んでいます。転職して公務員(農業)になりました。普及員は6年目です。

島根県
長妻武宏

認定新規就農者「三瓶山でニンニク栽培」

2021.06.18

 令和元年に大田市三瓶町にUターンして、ニンニク栽培をする認定新規就農者を昨年度から担当しています。現在、就農してから2回目の出荷をしています。


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 昨年は、葉が枯れて土中のニンニクの皮がなくなる症状がありました。普及指導員専用サイトで質問したところ、病気ではなく収穫遅れだということがわかり、今年は5月中旬から収穫をする計画をしていました。
 まさかの梅雨入りで最初は雨続きでしたが、今年の梅雨は中休みで晴れが続くこともあって、収穫が進みました。


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 3月には、島根版GAPの「美味しまね認証GOLD」(大田市の認定新規就農者初)を取得し、今回から"食べチョク"での販売も始めました。2年続けて病害虫の発生もなく、今年も無農薬で出荷することができました。


にんにくの景山(食べチョク)

長妻武宏

島根県の長妻です。畜産が専門の普及員ですが、過去には、イノシシの研究などもしていました。島根農業の応援団員になりたいと思っています。

blog_fukyu_gotom_f.jpg 大分県
後藤美智子

はじめやすい"ぶどう"の仕組みづくり

2021.06. 7

 今の地域に赴任してから、『ぶどうをつくってみたい』という相談をよく受けます。
 雨の多い九州では、ぶどうを栽培するために雨を避ける『屋根(施設)』が必要です。施設投資が必要なため、簡単にはじめられる作物ではない、というのが私のこれまでの認識でした。


 しかし、ぶどうの担当である後輩のS技師から、
「使わなくなったハウスや野菜のハウスを改造し、器用にぶどうをつくっている人が多い」
という話を聞きました。実際、運転中に見かける小さなハウスの中に、ぶどうが育っています。実物を見ると、私の"ぶどう栽培かくあるべき"思い込みが、ぺろんと剥げ落ちました。

 同時に、過去に見た『新潟県の水稲育苗ハウスを活用したブドウ栽培』が脳裏に浮かびました。目の前の地域の様子と新潟県の取組が重なって、はじめやすいぶどう栽培が、今の地域でも可能ではないかと考えはじめました。


 そんな中、S技師は昨年、マニュアルの大元である新潟県に視察へ伺いました。新潟では、遠く九州からの来訪者を大変温かく迎えていただいたと聞いています。新潟県農業総合研究所園芸研究センター、新発田地域振興局、新潟地域振興局の皆様におかれましては、視察の際にはとてもお世話になりました。ありがとうございました。あの時見聞きし、受け取った種は、文字通り芽を伸ばしはじめたところです。

 また、私たち果樹担当のアイデアを地域へ提案する際には、普通作の担当普及員との調整なしには進みません。一人でできることには限界があります。
 "ぶどうをつくってみたい"と"ぶどうをはじめやすくする"のマッチングの中で、チームで仕事をすることの大事さも改めて考えました。


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左 :育苗ハウスの温度をとるS技師 / 右:水稲苗とぶどう


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左 :育苗ハウスのぶどう / 右 :改造中の野菜ハウスに植えられたぶどう


 「試してみて、もう少しできそうだと思えたら増やすのがいいですよね」
 育苗ハウスや遊休ハウスにはじめてぶどうを植えた方へ、S技師がかけた言葉です。その言葉に、生産者がうなずいたり、来年は増やそうと話してくれます。S技師とぶどう栽培の提案や支援のため、地域を回っていると、生産者とのやりとりや説明の中で、ぶどう以上に伸びやかな成長を彼女に感じています。


 今回のぶどうの取組は、市役所さんとともに地域へ広げていく予定です。収穫までにはまだまだ時間がかかりますが、実り多い季節が迎えられるよう、地域に寄り添った活動を続けていきます。

後藤美智子

大分県豊肥振興局にて“果樹に関わる人を地域に増やす・地域にやりたい仕事をつくる”を目標に普及活動に取り組んでいます。転職して公務員(農業)になりました。普及員は6年目です。

岩手県
菅野千聖

業務内容を紹介します!アスパラガス編①

2021.06. 3

 岩手県久慈農業改良普及センターの菅野(かんの)です。
 この4月に内部異動がありまして、「経営指導課」から「産地育成課」の所属となりました。昨年度に引き続きヤマブドウに加え、今年度は新たにアスパラガスなども担当することとなりました! 新しい業務の内容も今後お知らせしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします!


 さて、第8回目の今回は、今年度から新たに担当になったアスパラガスについて紹介します!

 当地域はほうれんそうが主力の産地ですが、生産者の高齢化や、労力不足などにより近年生産量は減少傾向となっており、空きハウスなどが増えているのが実態です。
 そこで、今年度は、空きハウスを活用した生産者の所得向上に向け、省力的で収益性の高い品目として、アスパラガスの半促成栽培実証を実施することとなりました。
 1年目は株養成期間なので収穫は出来ませんが、2年目からは春芽が収穫できる予定です。


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定植1年目のアスパラガス。新しい芽も出てきて、順調に生育しています


 普及センターでは、2年目からの収穫が順調にできるよう、栽培管理や病害虫防除など、栽培に係る支援を実施しています。
 今後は、2年目の収穫状況を確認し、収益性などについて検討していくこととしています!

菅野千聖

岩手県一関農業改良普及センター産地育成課の菅野千聖(かんのちさと)と申します。
産地育成課で小ぎくやりんどうといった花の担当をしております。県職員歴は11年目、普及員としては8年目となりました。
本県の農業の現状や一関地方の農業の特徴を皆様にわかりやすくお伝えできるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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