奥尻町での普及活動 ~醸造用ブドウ生産編~
2015.07.22
日本海にぽっかりと浮かぶ奥尻島。
ちょうど今の時期(夏期間)は、普及センターから見る夕日は奥尻島に沈んでいき、真っ赤な夕焼けの中に浮かぶ島の形は何ともいえない美しさです。
その奥尻島での活動を紹介します。
奥尻町では漁業の他に、小規模ですが農業も営まれていることは以前紹介しましたが、奥尻町を代表する特産品に「奥尻ワイン」があります。
現在、奥尻町では約25.5haにメルロー、ピノノワール、シャルドネ等の10種類のワイン用ブドウを栽培しています。島特有の潮風に打たれ、思うように収量が伸びて来ないのが悩みの種ですが、それでも、奥尻ワイナリーでは年間約6万本のワインを生産。"奥尻ワインの販売額は町の農業生産額とほぼ同額"と言われるほど、小さな島では重要な産業です。
先日、農業試験場に勤務する果樹専門の普及指導員とともに、ワイン用ブドウ生育状況の調査等のため、奥尻島を訪れました。
左 :奥尻ワイナリーの栽培管理の総責任者、村井農場長(右)と防除時期や薬剤などを確認
右 :ブドウの目線でブドウの気持ちになって...? 果樹はオマカセ! 小坂主任普及指導員(中央)
奥尻ワイナリーは、平成19年に「農業生産法人"奥尻ワイナリー"」として本格的なワイン製造を始めました。北海道南西沖地震(平成5年)から復興後、平成13年頃から遊休地を活用したブドウ栽培を始めた...とのことで、ブドウ栽培の歴史としては10年以上になりますが、気候の影響や、面積拡大に伴う労働力不足、その他さまざまな要因により、安定生産への道のりはまだまだ長いようです。
左 :順調に房を作り始めたブドウのあかちゃん!
右 :一方、島を吹き抜ける潮風などの影響により、枯死している株も...
普及センターは、平成13年度の組織改革までは奥尻町に普及センターの駐在所があったのですが、駐在所廃止後は、フェリー便が2往復あり日帰りが可能な夏期間でも往復の航路約4時間半、現地での活動約4時間半という厳しい条件の中での活動となっています。予算の関係上もそうそう何度も訪島できないのが現実です。
島内の移動も町役場の担当者に同行して(同乗させて)頂かなければ足がない...という状況。だからこそ、短時間の中でよりたくさんの情報提供や収集を...と、樹園地ではもちろん、昼食の場でも、移動の車中でもお互いにさまざまな情報交換は続きます。
今回の活動の中で、時間の使い方や活動の組立方について、色々と考えさせられることや次回への反省につながることがたくさんありました。それはまた次回...。
さて、肝心のブドウの生育状況ですが、今年は病害の発生も少なく至って順調(今のところ)で、今年もおいしいワインが期待できそうです!
ただ、絶対的な労働力不足が続いており、『修学旅行生の「体験学習」が実はとてもありがたい。高校生くらいの修学旅行生が収穫の頃に来てくれないかなぁ』との、冗談とも本気とも取れる発言に、思わず笑ってしまいました。
【番外編】
4時間半の活動にご一緒頂いた役場担当者の方との昼食は、もちろん"海の幸"!
左 :この「イカ刺し定食」(だったかな?)は、このボリュームで千円(税込み)でした
右 :新鮮なイカの他、タコ・ヒラメのお刺身も盛り合わせで、感激!
イカ・タコ・ヒラメのお刺身、焼き魚、三平汁、布海苔等、海の幸三昧!
ただ、時間の有効活用~情報交換に忙しく、じっくり味わって食べられず、とても残念でした(でも、残さずキレイに頂きました~ごちそうさまでした(*^_^*))