普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2015年1月

大分県
塩崎洋一

漁網を使った効果的な鳥獣害対策

2015.01.27

 年明けの何となく暖かい休日ですが、自宅で網をそろえております。これは、漁師さんからいただいた、使わなくなった刺し網です。


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自宅の前で網をそろえています


 私の生まれは大分県臼杵市、豊後水道に面しています。
 子供の頃からの感覚ですが、海で魚をとるのは、こんな網を港の周辺でしかけるイメージです。つまり、大きな漁船で大きな網で、一度に群れを追いかけるようなものではありません。

 臼杵の港にも魚市場がありますが、そうした大きな漁船から魚がドバッと水揚げされるイメージではないのです。
 私自身、中学高校時代、父親が時々にこのような網を使って漁(趣味半分)をするのを手伝わされていました。朝、学校に行く玄関先で、「帰ったら網をそろえちょけ」と背中に声が飛んできます。夜は、行くぞとの合図でした。


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そろえたら、こんな感じです


 さて、以前の勤務先でのことですが、事務所の仲間の実家がスイートコーンを作っていて、狸にやられるとのこと。
 すかさず、「これでやれ」と、当時キープしていた網を届けました。使うコツは、狸が入らないようにピシッと張るのではなく、たるませて、足に絡むのを嫌がらせる。加えて電柵です。

 以前は電柵だけだったようですが、やられていたとのこと。また、ピシッと張ると、破れた場合は、そこから出入りします。念のため、網の下には、ビニールハウスのビニールを敷いておくことを勧めました。これは、奴らが踏んだときに音がして嫌がらせるためです。
 効果てきめん。その後狸による被害は皆無となりました。


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網の下にビニールは敷かずに、除草剤を使うのも撤去作業には都合が良いです。網をたるませておくのがポイントです。
電柵の高さと網の高さが段違い、これもコツです。飛び越える奴らは、やりにくくなります。加えて、山側に道路があり、藪から出てくると、体を外でさらされる格好になり、嫌がります。複合対策による知恵くらべ、です


 それから数年が経ちましたが、届けた網が相当に役立ったようで、「また欲しいのですが」との連絡が来た、という次第です。

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

blog_hukyu_kasahara_f.jpg 青森県
笠原 均

お祭りには、情報がいっぱい!(その1)

2015.01.20

【転換期を迎えている!】
 乳価の上昇、米価下落、天候不順による野菜の品薄等々・・・農業関係者だけでなく、多くの人が「日本の食料事情」や「農業」が大きな転換期を迎えると感じていることでしょう。

 私達、農業改良普及指導員も、この変化に対応すべく、努力奮励(どりょくふんれい)、一意攻苦(いちいこうく)、粉骨砕身(ふんこつさいしん)の日々であります。
 そんなわけで、これまでまったく携わったことがなかった分野に切り込んで行く機会が非常に増えました。もちろん、ストレスは急上昇しましたが、新しい人と出会い、出会ったすべての人と共に「未来へのドア」を開けているんだと思えば、トキメキを感じることさえあります。


 私も多分にもれず、昨年4月から、これまでまったく関わりのなかった集落へ入り、これまでまったく関わりがなかった分野の仕事を任されることになったのです。

 知らない集団、知らない分野に入るのです。

 私がいきなり集落の公民館へ行って話しをしても、彼らから見れば、「あんた、誰?」の世界です。いきなり、よそ者がいきなり行って小難しい話をすれば、つまみ出されるかもしれません。
 そこで、今の業務になった日から、私はさまざまな手を打っているのですが、その中で、ものすごく手っ取り早く効果的な方法があったので、今回ご紹介したいと思います。


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なんか、入りにくい・・・(イメージ画像)


【ヒントは、意外なところにあった!】
 その方法とは、農協の納涼祭に行くことです。仕事のために身銭を切ってイベントに参加することには賛否両論あると思いますが、にぎやかなところが大好きな私は、お祭りなら、多少多く払っても自分から行きたいくらいです。
 ついでに、散々飲み食いして、さらにビンゴで景品があたって、洗剤セットをもらったあかつきには、参加チケット代に、ちゃっかりお釣りがくるくらいです。


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納涼会をもりあげるJA職員による「みらいバンド」。
おもてなしの気持ちが伝わってきます


 話はすっかりそれてしまいましたが、農協納涼祭には、参加チケット代うんぬんよりも、普及指導員として喉から手が出るほど欲しい情報であふれていることに気が付きました。
 では、さっそく、私が気づいた「そのテーブルの中心人物(リーダー)をチェックする方法をご紹介します。


【チケットの半券を受け取ったら】
 受付でチケットの半券を切って、生ビールとフランクフルトを手に入れたら、ざっと会場内を見回してみます。
 私の地域のイベントでは、りんご箱なんかで大きなテーブルがいくつも作られている場合が多いのです。

 とっかかりは、農協のなじみの指導員に、私がこの日のために作ってきた
「今日、お話をしたい人リスト」を見てもらいます。


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会いたい人リストと書いた「今日、お話をしたい人リスト」。
ポケットに入れて持ち歩きます。
わざとらしく写真に「ぼかし」を入れてますが、これは、実在しない人物名をイメージとして書いてます


 農協の指導員であれば、ほぼ人の名前と顔を覚えています。指導員の指導のもと、私が向かうべきテーブルの順番を決めます。
 続いて、片手に持ったビールをこぼさないように、目的のテーブルに近づきます。相手は、誰も私を知りません。誰もこちらを向きません。当然です(笑)。


【チェックすべきは顔の向きではない!?】
 始めは、年長者や、みんなの顔が向けられている人がリーダーなのかなと思って話しを聞いていましたが、あまり法則性がなく、また一つのテーブルで会話が二分することもあり、なかなかリーダーがわかりません。声が大きい人に顔が向けられている場合もあります。

 そこで注目したのが、そのテーブルを囲む人達の膝の向きです。話をしている人が変わるたびに、周囲の人の顔は、話し手の方へ向けられています。しかし、膝の方向は滅多に変わりません。そして、私が引き出した法則は・・・


「多くの膝が向いている方向の人物がリーダーである可能性が高い!」です。


 膝が向いている方向は、自然と顔を向けやすく、よく見ていれば、その方向の人に耳を傾けている機会が多いです。


 なお、私の行っている中心人物(リーダー)は、なんらかの役職ではなく、回りへの影響力を持っているオピニオンリーダーを差しています。意外にこの法則は、正解率が高いです。


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会場風景(スケッチ)。
顔の向きは意外に当てになりませんでした・・・


【良く動く人がいる】
 テーブルで話をしながらも、会場全体を見渡してみましょう! すると、やたらとビールを片手に各テーブルを歩き回っている人物が、数人目に付きました。傾向として、彼らは滅多に椅子に座りません。また、同じテーブルにとどまることもなく、次々とテーブルを回っています。
 その数人の顔と名前をチェックしておき、その日のうちに名刺を渡してあいさつしておくと良いです。意外にそういう人は、名刺を持っている確立が高く、どういう立場の人物なのか知ることができます。タネ屋さん、運送屋さんもいました。

 名刺をもらった方の中には、かなり地位的に高い人もいましたが、多くの場合、彼らは縦横に広いネットワークをもっている人物でした。以後、私が、「○○のような事がしたいので、△△のことに詳しい人を知りませんか?」と相談すると、この人たちがいろいろと手を貸してくれました。


 ・・・なんて、いろいろ偉そうに書いてみましたが、どちらもすごく当たり前のことですね!
でも、とっても役に立つ方法です。ぜひお試しを!
 

 ひとつだけ注意したいのは、この方法は、お酒があまり回る前に実行すべきです。開会1時間も過ぎると、時々、酔ってわけがわからなくなっている人がいます ( ̄∇ ̄;)Aあせっ


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酔ってわけがわからない感じ。
こうなると誰がリーダーか、さっぱりわかりません。
*イラスト提供:イラストレーター「愛」さん。ありがとうございます!


 まだまだ、書きたいことは山ほどありますが、続きは次回へ!
 See you next time!

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

大分県
塩崎洋一

季節到来

2015.01. 5

 今年度も季節到来。何の季節か・・・・経理処理の忙しい時期です。
 イチゴ農家さん、パソコンを使って経理をしています。担当の彼女と今回も経営担当広域普及指導員に手伝ってもらいました。


 普及活動の上では、経営者の意識向上という場面は多いですが、私自身は、それは簿記経理作業に対してではないことが多いと考えています。経理管理そのものは、事務処理をどうするかのレベルが問われると思っています。
 ここを経営としてとらえるならば、その事務処理という大切な仕事を、どのように経営体の中で進めているかが問題であって、それを進める意識が経営者の意識として重要だと考えています。
 つまり、今の時期からバタバタと帳簿整理するのが経営者としていかなる意識か。やるのは奥さんであっても本人であっても、極論を言えば、この事務仕事をどれだけ重要な仕事と位置づけているのか。
 普及組織の側の認識は、いかがでしょうか・・・・


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パソコンをチェックする担当者の後ろで眼を光らせている経営担当広域普及指導員です


塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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