普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2014年11月

blog_hukyu_kasahara_f.jpg 青森県
笠原 均

老眼!?普及指導員お薦めツール(その3)

2014.11.28

【前回あらすじ】 ▼前回ブログはこちら
 普及指導業務のスマート化が進むなか、スマホ顕微鏡レンズを試しているうちに、すっかりハマッテしまう普及指導員の私。
 今回は、自宅で撮影したものも含めて紹介します。というか、全部、私の部屋で撮影したものになってしまいました。ここまでくれば、単なる趣味です。


【まずは撮影風景・・・私の机の上は、こんな感じ】


kasahara_12_1.jpg


1 メインLEDライト
 被写体を浮かび上がらせ、陰影を付けるために使用しています。かなり明るいライトです。


2 補助LEDライト
 メインLEDだけだと、陰の部分がつぶれてしまうので、16個のLEDを補助光として使っています。LEDというのがポイントで、熱を持たないことが撮影の際に必須条件となります。


3 顕微鏡を付けたスマホ
 前回ご紹介した顕微鏡を付けた、「どこにでもありそうな」スマホです。


4 被写体
 撮影する対象です。


5 スマホ用三脚
 写真がブレないために、スマホを固定する三脚を使用しています。ただ、思ったより自由度が低く、改良が必要と思われます。


6 黒い板
 ホームセンターで購入したプラスチックの板を使用しています。これで、背景に変なモノが写りません。右手に見えるプラスチックのクリップは、ホームセンターなんかで売っているPOPクリップです。ブックエンドを併用すれば、自由に角度を変えて、さまざまな背景が設置できます。


7 第三の手
 銀細工等のクラフトコーナーにあります。かなり重宝しています。今では、これなしに撮影できません。


8 花瓶
 切り花を撮影するときに使用しています。色のない花瓶がお薦めです。被写体の色に影響を与えないからです。


9 保冷剤
 昆虫を撮影する際は、もっと大きな保冷剤を使って机の上全体を冷やしています。昆虫が動き回って、写真がブレるのを防止するためです。小さな虫なら、小さな保冷剤の上をはわせるだけで、かなり動きが鈍くなります。


 ・・・おやつのアイスは、どうでもいいですね。
 

【マクロ撮影の問題】
 マクロ撮影は、ブレと浅い被写界深度(ピントが合う範囲が極端に狭くなる)との戦いです。
 ブレは、手ブレと被写体ブレに分けられます。
 手ブレは、三脚に固定することと、音声認識シャッター(前回のブログ参照)で、ほぼ防げます。やっかいなのは、被写体ブレという、撮影する対象自体が動いてしまうことです。


kasahara_12_2.jpg
触角が不鮮明なのは「被写体ブレ」、写真全体が動いて見えるのは「手ブレ」。
マクロ撮影では、ピントの合う範囲が極めて狭くなりやすく、頭部以外はボケています


【被写体ブレを防ぐ】
 植物の場合は動きませんので、普通に花瓶に挿しておけばOKなのですが、思い通りのアングルで撮影しようと思ったら、「第三の手」が便利です。手にピンセットを持って作業する場合に比べて格段に自由度が増し、しかも被写体ブレが生じません。


 問題は、昆虫です。危ないので、始めはスズメバチに殺虫剤をかけて撮影していました。しかし、触覚が下がってしまう、足が折りたたまれてしまう、なんか体の向きが不自然になる・・・等々、さまざまな不具合が発生しました。

 さらに、自分のお気に入りのクワガタに殺虫剤をかけるわけにはいきません。
 そこで試したのが昆虫の冷却です。夏場にいる昆虫は、ちょっと涼しくするだけで、ほとんど動きを止めてくれます。ライトにLEDを使うのも、被写体の温度を上げないためです。


 ちょっと意外だったのはカメムシで、保冷剤でしばらく冷やしても暴れまくりました。ピンセットで何度も押さえたので、部屋の中は、きゅうりのようなニオイで充満しました。
 やむを得ず、青年自然の家の合宿で覚えたガムテープでカメムシをはさむという、「科学的技術及び知識の普及指導を行う」はずの普及指導員としては、極めて地味な方法をとりました。しかし、これが意外にも効果絶大だったのでした。


 さぁ、作品の紹介にかかりますか・・・「え!?」Σ(゚д゚;) ヌオォ!?

 「ブログだから、あんまり長文は困るって!?」


・・・・仕方がないので、次回・・・

ヤレヤレ┐( ̄ヘ ̄)┌マイッタネ・・・.

笠原 均

青森県の農業改良普及指導員(普及員)です。普及員歴はすでに20数年となるのですが、お話し好きが高じて、農業の担い手育成を担当していることが多いです。 プライベートでは、「気分はプロフェッショナルカメラマン」、「YouTube再生回数が伸びないけど作曲家とウインドシンセサイザー奏者」です。 加えていうと、15年前から音楽の秘められた力をフル活用して地域おこしをやっています。そんな活動のお陰で町内会役員から目をつけられ(勧誘され)、町内会の理事なんかやっています。もちろん、町内の草刈りやしめ縄づくりも、町内会最年少として参加しています。

富山県
柳瀬美智代

緑肥作物の推進

2014.11.26

 私の担当する射水市では、土づくりに緑肥作物を推進しています。畜産農家が近隣にいないため、堆肥の施用は少なく、緑肥作物を重点に推進中。


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クロタラリアの生育不良
排水対策を徹底しているにも関わらず、生育不良となっているクロタラリア。農家も落ちこんでいる様子でした。
排水溝も深く掘ってあります。どうやら疫病にかかっていたようです。


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生育が旺盛だったクロタラリア
A営農組合のクロタラリアは草丈が2mにもなってかなり旺盛な生育になりました。


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農家に突撃レポート
生育が良かった農家にポイントを聞こうと聞き取りしました。「いつ、播きましたか?」「播種量はどのくらいですか?」


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すきこみの器械もチェック
クロタラリアをすきこんだフレールモアの機械も見せてもらいました。爪がすり減って減もうしている状況。爪が減るくらいに立派なクロタラリアになれば農家も本望です。


 緑肥作物は、堆肥投入より取り組みやすい土づくりです。
 大麦跡のクロタラリア、大豆作付前のヘアリーベッチと、用途に応じて積極的に取り組んでほしいと思います。うまく育たなかった原因究明、うまく育ったら何がよかったのか、一つ一つ確認しながら進めていくのが、土づくりの底辺となります。

柳瀬美智代

富山県高岡農林振興センターで、地域担当しています。地域担当の役割は主穀作(水稲、大麦、大豆)の技術改善や集落営農等の組織化など、地域全体のコーディネートです。

北海道
田所由理恵

インターンシップがやってきた!~その2~

2014.11.21

 「ここ数年、わが檜山農業改良普及センターには依頼がなかったインターンシップ」と、6月に紹介した中学生の受け入れに続き、今度は地元の高校生が2日間の日程で職業体験を行いました(今年はインターンシップの当たり年です!)。


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左 :高付加価値化の活動の中から農業と商工業との連携による地域づくりの活動を紹介
右 :作業体験として、試験栽培の紅金時豆の選果を体験してもらいました


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左 :豆の選果だけでは楽しくないので、選果した紅金時豆で羊羹づくりを実施
右 :豆の違いによる風味等の比較を行いました(左が紅金時豆羊羹、右が小豆羊羹)


 檜山振興局が数名受け入れした中の1名が、わが普及センターに配属されました。
 当日、檜山振興局職員に連れられてやって来た高校2年生は、「農業改良普及センターは知っていたけれど、どのような仕事をしているのかは知らなかった。振興局の一部署であることも知らなかった」と。

 実はこの地元高校は普及センターのすぐ近くにあり、窓を開放している夏期間は、放課後グランドで活動する運動部の声や吹奏楽部の練習の音が聞こえて来る、まさに「お隣さん」状態の高校で、われわれにとってはとても身近な高校です。通学は普及センター庁舎前を通るので、農業改良普及センターの名前くらいは知っているでしょうが、農家子弟でもなければその仕事については知らないのが普通でしょう。


 そういえば、私の高校生時代(かなり昔の話です...(^^;)3年間通った高校の正門の道路向かいに農業改良普及所(当時はこの名前でした)がありました。国旗と道旗が掲揚されるその事務所を「あそこは何なんだろう?」とながめて3年間過ごした記憶があります(結局、自分が普及員(当時)になって、やっと「農業改良普及所」の存在を知りました...)。


 北海道では毎年普及指導員受験者確保に向け、道内外の各大学等に「北海道の普及指導員になりませんか?」と、PR活動を行っています。農業の後継者も不足していますが、普及事業の後継者も不足しています。


 『農家子弟でなければ知らない普及事業』から、『名前くらいは誰でも知っている(メジャーな)普及事業』にしていかなければなりません。中学・高校時代から農業改良普及センターを身近に感じ、職業選択のひとつとして考えていける環境作りが大切! と、数十年前の自己体験も思い出しながら、改めて考えさせられました。

田所由理恵

平成24年から檜山農業改良普及センター所属。25年度に高付加価値に係わる仕事に変わりました。北海道に新幹線が来るのも間近!北海道の入り口で地域農畜産物の付加価値向上に邁進します。

大分県
塩崎洋一

女性農業経営士会視察研修

2014.11.17

 管内の女性農業経営士の皆さんが、毎年恒例の視察研修を行いました。
 今回の視察場所は県西部日田市で、全国有数の酪農経営を展開する「本川牧場」さんと、集落営農を基盤に加工販売を展開する「ももは工房」さんに伺いました。


 本川牧場さんは、ここ20年で経営を大きく広げ、今では国内3社、海外2社をマネジメントするギガファームです。ベースは酪農ですが、それに関わる飼料の確保と生産に関連した、さまざまな経営活動を重ねています。その経営展開の中での女性の役割などを柱に、専務の本川光恵さんからお話を伺いました。(この牧場の発展過程における普及との関わりは、「技術と普及」紙上でも紹介されました)

▼「技術と普及(2006年5月)」掲載記事はこちらからご覧いただけます (pdfファイルが開きます)


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左 :本川牧場さんの会議室にて。世界地図がなにかを物語っています
右 :話をする本川光恵さん(右)と、横で必死にメモる会長さん


 ももは工房さんは、設立から15年ほどになりますが、集落営農を展開する中で、なくてはならない存在として、経営確立してきています。県内外に販路を広げ、味噌を中心に菓子の製造、季節によっては餅の加工受託まで行っています。

 両者ともに、当管内にはない事例で、皆さん真剣そのものでした。


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左 :真剣に話を聞いた後は、もちろん、皆さん味噌を買ってました
右 :ももは工房の森山さんから、「ももは」の意味を聞いて、何とも言えない感心を受けました。知りたい方は、ぜひ現地へ・・・・


塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

北海道
田所由理恵

有機農業をPR

2014.11.12

 生産者も消費者も「有機農業」には興味はあるけれども、「ユウキノウギョウ」というイカツイ音の響きも手伝って、なかなか親密に接することができない...というのが正直なところではないでしょうか?


 北海道では各地で有機農業者のネットワーク組織があり、檜山にも渡島と合同の「道南有機農業ネットワーク」(会員:32名)があります。ネットワークの活動は研修が中心になりますが、活動目的のひとつに「有機農業のPR」もあり、このたび函館市で開催された「食べる・たいせつフェスティバル」(主催:コープさっぽろ)に参加し、有機農業のPRと農産物の販売、消費者との交流を行いました。

 店舗での有機農産物の販売拡大を目指す「コープさっぽろ」とH24年から連携し、毎年開催されるフェスティバルへの出店が続いています。


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開場前から来場者の列!


 秋晴れのこの日、函館市の会場には、開会前から来場者が列をなして開場を待つ盛況ぶり! 道南有機農業ネットワークも、ブースを訪れる消費者に有機農業の取組や自慢の農産物について説明し、試食品を提供しながら販売を行いました。
 特に有機栽培かぼちゃは「カボチャ独特の風味が強い!」「甘くておいしい!」と消費者から高い評価!! 当日準備した農産物は完売し、ネットワークとしても達成感を得られた活動になりました。


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左 :大勢の消費者で賑わう道南有機ネットワークのブース
右 :試食が大好評!だった有機栽培のかぼちゃ


 しかし、今年は設置ブースが屋外テントになったため、展示や掲示が充分にできず、販売に忙しくなった時に有機農業のPRが充分できたのだろうか...との反省点もあり、今後の取組の課題になりました。


 檜山・渡島の双方の普及センターや振興局関係者が支えるこのネットワーク。しかし、有機農業をもう一方から支えるのは消費者であることを忘れてはならないと思いました。

 この大消費地函館市の消費者が、イカツイ音に臆することなく有機農産物を日常の食卓に上がるようになるためには、農業者と消費者の中間に立つ我々ができることは...と、いつになく(?)真剣に考えさせられた活動となりました。

田所由理恵

平成24年から檜山農業改良普及センター所属。25年度に高付加価値に係わる仕事に変わりました。北海道に新幹線が来るのも間近!北海道の入り口で地域農畜産物の付加価値向上に邁進します。

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