普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2013年10月

大分県
塩崎洋一

TPP以前の問題、ありませんか

2013.10.15

 今回の女性農業経営士会の研修会は、お題を頂きました。それも「TPP」についてです。
 世間では、これについて、反対か賛成か、何がどうなるのかと議論はつきないようです。もちろん、私たちの所属する地方自治体においてもさまざまかと思います。


 ところで、よくよく考えてみれば、TPPで取りざたされることには、前提があることに気がつきました。「自由な経済活動」とか「市場原理に基づいて」といったことです。ならば、「この前提の及ばないところで、自分の身の丈にあった経営を展開すれば、受ける影響を軽減できるだろう、と思いませんか」と考えたわけです。


 今日明日すぐに関税が撤廃されるわけでもないし、人によっては自分の代で経営が終わる方もいます。ならば、TPPを含めていろいろな経済情勢の変化に対して、「これならできる」と思うようなアイデアや対策を意識してもらうことの方がお得な話では、と感じてもらえるだろうと思いました。


 たとえば、年間数百万円の売上であれば、取り扱う品物の量は、どの程度か。仮にそれが、すべて直売で売られて、市場出荷はしないのであれば、どうなるか。その人の流通は、少なくとも安易に市場原理の支配は受けない、と 言えませんか。そのお客さんは「多少高くても、あなたの作ったものを買います」という付加価値を求めている方たちということにもなるでしょう。


 中山間地域の家族経営、複合経営においては、地域の自然や歴史、農家民宿でのゆったりとした時間や空間など、さまざまな付加価値があると思いますが、こうした付加価値が農産物にくっついて、簡単に市場で流通するものとは思えないのは、私だけでしょうか。


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左 :話題提供の読み合わせです。ホントは参加者の誰かに読んで欲しかったのですが・・・
右 :読み合わせの時はこんな風景ですが、読み終えて話し始めると、いつものように、鋭い視線です

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

富山県
柳瀬美智代

秋はスポーツ、アサガオの分布状況調査!

2013.10. 7

10月に入り、いよいよ大豆の刈取を迎えています。富山県では、数年前から大豆畑での帰化アサガオ発生に困っています。
 農家への注意喚起、発生ほ場での防除対策などに取り組んでいますが、その取組みの中身を紹介します。


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大豆播種直後に除草剤の試験
試験用なので普及指導員が自ら、まきました。
「俺は、桃太郎を背負ったら日本一似合うんだよ」と。均一にきれいに散布できました。


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バスタ処理後、アサガオの発生状況の観察
畝間だけでなく、株間も要注意!


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アサガオの抜き取り
抜き取る労力は大変なものです。こうなる前に何とかしたいもの


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アサガオの発生状況調査
これは、ランニングしているわけではありません。アサガオの調査です。


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アメリカアサガオ
富山ではマルバルコウとマメアサガオが主流。珍しいアサガオです。これに、効く除草剤がなくて、困っています。


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アサガオのデコレーション
ランニング中に発見したアサガオ。鉄線に巻きついて、まさにデコレーション。「じぇじぇじぇ、ジャックと豆(アサガオ)の木。恐るべし、アサガオの生命力」


 9月下旬から10月にかけてアサガオが目立ってきます。
 この時期、さわやかな秋の空の下、ジョグングしながらアサガオの分布状況を調査します。車では見逃すようなアサガオを、ジョギングだからこそ発見できる事も多いのです。自分の目で、自分の足で実感。
「アサガオって、本当に驚異的な繁殖力。何とかしないと・・・」

 休みの日も、仕事に励む普及指導員でした。時間外勤務に認めてくれるかな・・・。ムリだな。

柳瀬美智代

富山県高岡農林振興センターで、地域担当しています。地域担当の役割は主穀作(水稲、大麦、大豆)の技術改善や集落営農等の組織化など、地域全体のコーディネートです。

北海道
田所由理恵

アスパラペーストの料理試用・試作が進む!

2013.10. 3

 檜山南部産のアスパラガスに付加価値を付ける活動については、5月に紹介しましたが、その後、各飲食店等の協力により、試作が行われています。


主菜・副菜・デザート等、各ジャンルにこだわることなく、さまざまな試作品がお目見え...
 実際に試食や提供を行う中で、「色調が柔らかくて良い」「青臭さが感じない」「試食者からも好評」 等の評価と、「繊維質が強く裏ごしが必要」「色が薄く、酸で変色しやすい」「風味が弱い」等の課題や特徴が明確になり、加工業者とともに試食と確認を行いました。


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左 :ペーストをドレッシングに加工! 魚介用・野菜用の2タイプで試作(上ノ国町 :料理宿 宮寿司)
中 :ペーストをパン生地に入れました! 他の種類のパンも試作!(江差町 :ぱんや ベッキー)
右 :ペーストを使ったソースにアスパラ・牡蠣などで仕上げた「アスパラペーストの海鮮グラタン」(江差町 :食彩酒房 さと水)


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左 :ペーストをピザソースにしました。トマト・チーズとの色彩や味のバランスが絶妙! (江差町 :イタリア風居酒屋 パレス)
中 :ペーストをクッキーにしました。シフォンケーキやチーズケーキも試作!(江差町 :Cafe&Sweets壱番蔵)
右 :ペーストを寒天で固めてスイーツにしました。自家製のそば粉入り白玉団子・餡・黒蜜で、アスパラの味も引き立ちます!(江差町 :手打ちそば 和海)


一方、アスパラガス生産者のみなさんへは、アスパラペーストの簡単な試食とともに、各飲食店等の取組状況を紹介。"緑のドロドロ"と化したアスパラガスの切り下と、その試食品の感想とともに、活用方法等についても話題や意見が熱心に交わされました。


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左 :「どれどれ...?」ペーストの試食品に、感想や活用方法等で盛り上がるアスパラガス生産者の皆さん
右 :普及センターより、各飲食店等の試用状況を紹介


 生産者と飲食店、関係機関がつながって、檜山南部地区のアスパラガス振興と、6次化の活動が進んでいきます。

田所由理恵

平成24年から檜山農業改良普及センター所属。25年度に高付加価値に係わる仕事に変わりました。北海道に新幹線が来るのも間近!北海道の入り口で地域農畜産物の付加価値向上に邁進します。

大分県
塩崎洋一

牛飼いではなく牛作りを目指す

2013.10. 1

 管内の肉用牛の問題点は、農場ごとに牛ごとにさまざまな場面で見られますが、行き着くところ、生後数カ月の飼養管理になるようです。


 そこで、一カ月ほどの間に、ある程度まとまった頭数が生まれる農家さんで、生時体重に始まって、毎月の体重測定、体高や胸囲を測定し、「増体、体高、胸囲」のバランスがとれた育成になっているかを数字で見ていくこととしました。

 今やっている飼養管理、特に粗飼料の品質や濃厚飼料の使用材料による成分を考慮し、どのように工夫すれば、肥育農家さんの求めるバランスの良い子牛として出荷できるか、を実証していきます。


 普及方法としてみると、管内の農家を一斉に技術改善させるのはなかなか難しいことで、これは、古今東西を問わず品目や部門を問わず、みなさん苦労するところかと思います。

 普段から私たち以上に農家さんに接するJAの担当者とも協議して、ここから始めようという「人」や「場所」などをうまく決めてやり始めないと、将来に向けた産地全体の技術レベルの向上は、なかなか進まないと実感している次第です。


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体重をはかっています。もちろん、私の体重は差し引きます


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胸囲をはかっています。生後2カ月程ですが、すでに個体差も出始めています

塩崎洋一

昭和63年に大分県で普及員として奉職。 令和4年3月に早期退職して農業に踏み込み始めたが、普及現場の要請により中部振興局を舞台に、普及活動の第二幕が上がった。臼杵市在住。

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