細断型ロールベーラを用いたソルガムの収穫技術実演会
~全国農業システム化研究会現地検討会開催~
新たな技術(品種や体系)を理解してもらうためには、実際にそれらを見てもらうことが最も効果的であり、私たちは展示圃や実証圃を設置します。
先日、細断型ロールベーラを用いたソルガムの収穫技術実演会を開催しました。
写真 左:細断型ロールベーラ 右:草丈350センチを超えるソルガム
肉用牛(黒毛和種の繁殖雌牛)の増頭運動等も実施されていますが、増頭した(する)場合、エサの確保が大きな課題となります。また多くの肉用牛繁殖農家は稲作との複合経営であり、現地では、水田(=転作田)の有効活用も課題となっておりました。
そこで、転作田での栽培に向き、多収で、消化性も良く、稲作の田植えや稲刈り作業と競合しないソルガムの新品種「風高」の栽培を推進することにしました。
写真 左:細断型ロールベーラ(後ろの自走式の機械でラップします) 右:自走式ラッパ
この際、課題となるのは、これらの収穫と貯蔵作業です。この課題を解決するために今回は新たな機械体系を試みることとしました。トウモロコシでは実績のある「細断型ロールベーラ」という機械を活用することにしました。
細断型ロールベーラは、収穫機で1㎝前後に細断されたトウモロコシやソルガムを、高密度なロールベールに成形できるトラクタ牽引式作業機です。
ロールベールをベールラッパで密封することにより、誰でも簡単に高品質なサイレージ調製が可能となり、これまで重労働であった、人手によるサイロ詰め作業とその施設を必要としません。
今回の実演会を開催するに際しては、このような、機械等の利用を通じ、現地の課題を解決するための「全国農業システム化研究会」のお世話になることとし、このブログの事務局でもある、(社)全国農業改良普及支援協会さんと(株)クボタさんには大変お世話になりました。

写真 左:綺麗に収穫されました 右:実演会の様子
私たち普及指導員は、こうした課題を見つけ出し、解決に向けてのストーリーを組み立て、活用できる事業等を見つけ出す一方、実証に協力してくれる農業者とともに、作物を栽培します。また当日の作業に向けての打合会を数回開催したほか、当日は作業能率等の調査を行います。
実演会当日は約60名の農業者・関係者が参集し、地元の新聞にも取り上げられました。今後は、調査結果をとりまとめ、この技術体系の現地での普及へとつなげていきます。
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岩手県中央農業改良普及センターの滝沢村駐在で、主に畜産を担当しております。
本県の畜産は、養豚や養鶏もありますが、主に関わっているのは、酪農経営・黒毛和種(肉用牛)の繁殖経営・日本短角種の振興などです。