普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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◆2008年10月

埼玉県
鈴木知子

Uターン後継者の構想実現を支援!

2008.10.15

水耕トマトの生育状況を確認
 農家の後継者に生まれたからといっても、学校卒業後すぐに就農する人ばかりではありません。親とは異なる品目や栽培方法の導入を目指して先進農家に研修に行ったり、就職して何年か社会勉強する人も増えています。広い視野、新しい観点から農業を見つめる後継者達が農業を変えていく-そんな兆しがあちこちで見られます。
写真 右:水耕トマトの生育状況を確認


 川口市の早舩さんは江戸時代から続く農家の長男です。
 以前は農家を継ぐ気はありませんでした。しかし、大学時代には海外でボランティア活動に励み、卒業後は都内のデパートに就職し働いているうちに、当たり前のように緑に囲まれていた農家という環境を見つめ直すようになり、退社。先進農家での研修後、水耕トマトの生産を始めました(お父さんは植木生産)。今後多種類の野菜や果樹を栽培し、子どもたちの食育や海外の人達との交流をしていく構想を描き、着々と歩み始めています。


 普及指導員としては、経営計画をしっかり立てるようアドバイスし、生産技術の指導をしています。
 早舩さんは企業に勤めていただけに見事な経営計画を作成し、バイヤーとのつながりからデパートでの販売ルートを確保しました。1作目のトマトは無事に収穫が進み、2作目の育苗が始まっています。1作目の反省点を活かしながらよりよい栽培、よりよい経営を目指すこんな若い後継者が育っていくのを見るのはとてもうれしいです。

植木畑の中に新しいハウスを建築
写真 右:植木畑の中に新しいハウスを建築


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鈴木知子

埼玉県さいたま農林振興センター普及部の技術普及担当で、主に花植木と経営を担当しています。 埼玉県では女性農業改良普及員の1期生です。 農家と、若手の普及指導員が、夢を持って活動できるように支援していきたいと考えています。

長崎県
尾崎哲郎

野菜にもヒートポンプ導入?

2008.10.14

 10月3日に、長崎県農産園芸課主催による野菜振興対策検討会が農林試験場で開催され、各普及センターの野菜担当、農試(野菜、愛野馬鈴薯支場)、病害虫防除所、島原・県北の農務課、JA全農ながさき等の野菜関係者が参加しました。

ヒートポンプについて説明する打越氏

 内容は、園芸振興の柱である、園芸ビジョンパワーアップ対策事業(野菜関係)の進捗状況、コスト高対策としての各種事業などの説明・野菜に関する情報提供があり、特に今回はヒートポンプについて現地研修が組み込まれました。


 20年度の緊急対策事業で、283台のヒートポンプ導入が計画されていますが、ほぼ全員がバラ、きくなどの花農家です。野菜については、施設もパイプハウスが主であり、バラ、きくなどと比べて暖房機の設定温度が低いために重油消費量が少なく、過剰投資になる可能性が高く、ほとんど導入には至っていません。
写真 :ヒートポンプについて説明する打越氏


 会議終了後に、諫早市のきく農家、打越氏を訪ねてヒートポンプ使用に係わる話を聞きました。

 明らかなことは、
● 温風機と比べて温度ムラが少ない。(石油ファンヒーターとエアコンとの差か?)
● メンテナンスは温風機より手がかからない。
● ヒートポンプは稼働時の音が静かである。(温風機は稼働時のダクト巻き上げ時の音がやかましい)
● 夏場の冷房で、高温障害を回避できて花形が良くなる。また、出荷時期が早まる。
● 重油代は導入前の1/4程度に抑えられた。
● 導入は2月~5月上旬に利用する作型でないと採算が合わない。


 現地対応していだいた県央農改の太田専門幹の話では、試算で重油代60万円以下だと過剰投資となるとのことでした。

 話を聞いてみて、野菜では導入が難しいの一言でした。
 とにかく、早く燃油価格が下がることを祈ります。

左:ヒートポンプ  右:温風機
写真 :左:ヒートポンプ  右:温風機


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尾崎哲郎

長崎県壱岐地方局壱岐農業改良普及センターの技術課で野菜を担当しています尾崎哲郎といいます。離島ならではの普及活動や普及指導員としての苦労など紹介できれば幸いです。

岩手県
中森忠義

よりよい普及活動を行うために~普及指導員の研修~

2008.10.10

 より効率的で効果的な普及活動を行うため、また早期に若手職員がそういった活動のできる普及指導員になるため、様々な研修が実施されます。

現地で説明する先輩普及指導員(いずれも手前)   現地で説明する先輩普及指導員(いずれも手前)
写真 :現地で説明する先輩普及指導員(いずれも手前)   

 日常から、先輩普及指導員とセットで活動しながら研修するOJT研修(On The Job Training)や、国の研修施設や国が委託した独立行政法人(試験研究機関)等で実施される研修に参加するほか、私たちも(=各県が独自に)、特に若手の普及指導員を対象に、研修を実施しています。

 こうした研修は、座学で実施されるほか、現地に赴き、実際の現場で実施される場合も多くあります。

 この日は、2名の若手普及指導員を連れ、私が勤務する普及センターの隣の普及センターを訪問し、現地で研修を行いました。

 説明するのは先輩普及指導員。トウモロコシ畑や牛舎の状況のみならず、どのように説明すると農業者らによりスムーズに理解してもらえるのか、実行してもらえるのか、といった普及の手法についても解説をもらいます。

機械作業の様子   現場に入れてもらい作業をしながら研修しています
写真 左:機械作業の様子、右:現場に入れてもらい作業をしながら研修しています

 この日、訪れた農場では、トウモロコシのサイレージ調製作業が行われておりましたので、その効率的かつ安全な作業方法についても研修しました。

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中森忠義

岩手県中央農業改良普及センターの滝沢村駐在で、主に畜産を担当しております。 本県の畜産は、養豚や養鶏もありますが、主に関わっているのは、酪農経営・黒毛和種(肉用牛)の繁殖経営・日本短角種の振興などです。

愛知県
佐光佳弘

「あいちのかおり」、稲刈りスタート!

2008.10. 7

津島市百町での「あいちのかおり」収穫風景

 10月に入り、水稲の中生品種である「あいちのかおり」の収穫が、本格的にスタートしました。

 「あいちのかおり」は愛知県農業総合試験場が開発した品種で、収量が多く、病害虫に強いという特徴があります。海部地域の水稲の品種別作付け割合を見ると、「あいちのかおり」が約60%となっており、「あいちのかおり」は海部地域のメイン品種となります。
写真 :津島市百町での「あいちのかおり」収穫風景


 本年は、出穂期となる時期(お盆以降)に平均気温が下がったため、品質的に良いものが収穫できるのではないかと期待しています。
 
 お米の品質は、玄米を見るとよく分かるのですが、収穫が始まったばかりで乾燥調製が終わっておらず、まだ玄米を見ていません。今後、JAの乾燥調製設などを巡回し、「あいちのかおり」の品質を確認していきたいと思っています。

収穫が終わった田んぼには、虫を捕まえるためにたくさんの鳥が集まりました
写真 :収穫が終わった田んぼには、虫を捕まえるためにたくさんの鳥が集まりました

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佐光佳弘

愛知県海部農林水産事務所農業改良普及課(海部農業普及指導センター)の技術指導グループで、作物担当として仕事しています。 県職員12年目ですが、職場では3番目に若い新米です(職員数は18人)。

長崎県
尾崎哲郎

土壌灌注肥料のコスト低減効果を確認する

2008.10. 6

サスペンジョン肥料をうねに50㎝感覚で灌注。さし込みはあまり力はいりません

 燃油・生産資材等の高騰が深刻化しています。
 国、県において支援対策が打ち出されていますが、昨年から現場で取り組んでいる、肥料コスト低減試験を紹介します。

 アスパラガスは、夏場からの収量確保のために追肥を行いますが、ペースト肥料(商品名:園芸サスペンジョン)を畦から20㎝ぐらいの深さに灌注します。2年前は年間2回程度でしたが、昨年から、親茎立茎後、月に1回程度施用する農家も出てきました。
 通常、園芸サスペンジョン3号(成分N8-P3-K5、有機59%)を20㎏、水200リットルに溶かし、灌注していました。
写真:サスペンジョン肥料をうねに50㎝感覚で灌注 さし込みはあまり力はいりません


 サスペンジョン5号(成分N14-P4-K5、有機52%)は、3号よりN分が1.8倍程度含まれるので、肥料代の軽減を図るために、半量(当然、価格も1/2)でいけるのではないかと、展示圃で試験を行い、従来の3号と変わらない効果を確認しました。

 そこで、20年度の追肥を3号から5号へ変更しましたが、一部の農家から、含まれる有機質が減れば食味が落ちるのではないか? おいしい壱岐のアスパラの評判が落ちるのではないか、と言う声があり、今年度、再度試験を行いました。


 6月4日から10月2日まで、ほぼ月1回の割合で灌注を行い、若芽の萌芽数と若芽の糖度(頭部と中央部)を、灌注する前と施用10日後くらいに調査しました。
サスペンジョンの施用は、専用の灌注機で深さ25㎝まで打ち込むことができますが、今回は20㎝にセットしました。畦あたり50㎝間隔で灌注しますが、夏場は暑さと茎葉がまとわりつき、作業は楽ではありません。

土壌分析室でアスパラガスの糖度を測定
写真:土壌分析室でアスパラガスの糖度を測定

 糖度調査は、頭部の汁液が得にくいので、すり鉢でつぶし、デジタル糖度計で測定しますが、ややコツが必要です。測定してビックリしましたが、頭部が11~12%、中には13%を超えるものもあり、茎中央部が5~6%という結果でした。

 夏芽は茎が柔らかく、繊維が少ないので糖度が高いものはサラダアスパラガスとして販売できるかも・・・・

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尾崎哲郎

長崎県壱岐地方局壱岐農業改良普及センターの技術課で野菜を担当しています尾崎哲郎といいます。離島ならではの普及活動や普及指導員としての苦労など紹介できれば幸いです。

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