提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


果物と糖尿病予防(3)

2017年09月29日

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
カンキツ研究領域 カンキツ流通利用・機能性ユニット長
杉浦 実


つづき
六千人のアンケート調査
 果物は、その甘みゆえに糖尿病に良くないととらえられることが多いのは先述した通りですが、では、ミカンをたくさん食べている人たちではどうなのでしょうか?
 私たちは、ミカンをよく食べる人とそうでない人で、糖尿病の有病率に違いがあるのか簡単なアンケート調査をしたことがありました。アンケート調査は自記式で、まず性別・年齢・身長・体重とミカンの摂取頻度をたずねました。摂取頻度は、ミカン最盛期の10月~2月において、Ⅰ:ほとんど食べない Ⅱ:たまに食べる(1週間に2~3個) Ⅲ:たくさん食べる(1日平均2~3個)Ⅳ:もっと食べる(1日4個以上)の4段階のいずれに該当するかを答えてもらいました。ついで、現在どのような病気を患っているかをたずね、回答結果から、肥満、高脂血症、糖尿病の有病率とミカンの摂取頻度との関係を調べました。


ミカン産地の人達はどれくらい食べているか?
 アンケートは当研究部門の一般公開や三ヶ日などの各地の農協祭に訪れた人達に協力してもらい、最終的に6049名から回答を得ることができました。アンケート回答者のミカン摂取頻度はどうだったでしょうか。結果を図1に示しました。


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図1 性別・年代別にみたみかんの摂取頻度


 Ⅰの「ほとんど食べない」に該当する人は6049人中165人(2.7%)、Ⅱに該当する「たまに食べる(1週間に2~3個)」は1798人(29.7%)、Ⅲに該当する「たくさん食べる(1日平均2~3個)」と回答した人は3222人(53.3%)、Ⅳに該当する「もっと食べる(1日4個以上)」と回答した人は864人(14.3%)でした。
 性別・年代別にみると、男性よりも女性の方がミカンをよく食べており、年代別にみると男性では50歳代以上、女性では40歳代以上の過半数が毎日ミカンを食べていました。一方若い人はミカンをあまり食べないという結果でした。


ミカン好きには糖尿病が少ない!
 六千人のアンケート結果を解析してみると、予想したとおり、ミカンをたくさん食べている人たちに肥満や高脂血症が多いということはまったくありませんでした(図2)。これは、ミカンをはじめとする果物が非常にカロリーの低い食品であることから、十分にうなずける結果です。


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図2 ミカンの摂取頻度と高脂血症・肥満有病のオッズ比


 では糖尿病はどうでしょうか? このことについては、予想以上に驚く結果が得られました。ミカンを食べる量が多いほど、糖尿病の人が明らかに少なかったのです(図3)

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図3 ミカンの摂取頻度と糖尿病有病のオッズ比


 結果のグラフではオッズ比という指標で示していますが、これは、ミカンの摂取頻度で分けた各グループでの糖尿病の有病率の比を意味します。つまり、ミカンをあまり食べないグループでの有病率を1とした場合に、よく食べるグループでの糖尿病の有病率がどう違うかを示します。糖尿病の有病率は、あまり食べないグループに比べて、毎日4個以上食べるグループでは、糖尿病の人が52%も少ないことがわかりました。

すぎうら みのる

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門 カンキツ研究領域 カンキツ流通利用・機能性ユニット長